【前立腺がん】前立腺がんに対するアンドロゲン遮断療法(ADT)併用放射線治療:ADT併用の有効性とシーケンス【Marcap consortium:12件のランダム化試験のIPDメタ解析】
Androgen deprivation therapy use and duration with definitive radiotherapy for localised prostate cancer: an individual patient data meta-analysis.
Kishan AU, Sun Y, Hartman H, et al. Lancet Oncol. 2022 Feb;23(2):304-316. doi: 10.1016/S1470-2045(21)00705-1. Epub 2022 Jan 17. Erratum in: Lancet Oncol. 2022 Jul;23(7):e319. doi: 10.1016/S1470-2045(22)00345-X. PMID: 35051385.
【概要】
・限局性前立腺がんに対する放射線治療において、アンドロゲン除去療法(ADT)の併用は無転移生存および全生存をともに改善し、アジュバントADTの期間延長(18~36ヶ月)は追加利益をもたらす一方で、ネオアジュバントADTの期間延長による利益は不明。
・アンドロゲン除去療法(ADT)の効果は年齢、照射線量、NCCNリスクにほぼ依存せず、線量増加や小線源治療によるブースト照射が行われた患者でも保持された。
・副作用とのバランスを取りつつ、高リスクでは長期間のアジュバントADTを軸に、中間リスクでも併用を基本に検討すべき。
【背景と目的】
・限局性前立腺がんに対する放射線治療(RT)において、①アンドロゲン除去療法(ADT)の併用の有無、②ネオアジュバントADTの期間延長、③アジュバントADTの期間延長が無転移生存(MFS)と生存成績に与える影響を、個別患者データ(IPD)メタ解析で定量化した。
【対象と方法】
・12件の多施設共同ランダム化試験、10,853例を対象とした
・追跡期間中央値:11.4年
・主要評価項目:遠隔無再発生存(MFS)
・介入の定義:
・アンドロゲン除去療法併用:放射線治療単独 vs 短期ADT併用放射線治療
・ネオアジュバントADT期間延長:ADTの総期間をネオアジュバントADTのみ延長(3-4ヶ月→6-9ヶ月)
・アジュバントADT期間延長:ADTの総期間をアジュバントで延長(4-6ヶ月→18-36ヶ月;ADT施行期間中央値:短期 5ヶ月 vs 長期 28ヶ月)
・アンドロゲン除去療法併用の効果:
・無転移生存(HR 0.83, 0.77-0.89)、10年無転移生存差:+8.6%
・全生存(HR 0.86, 0.80-0.92)
・生化学的再発、遠隔転移も有意に減少
・ネオアジュバントADT期間の延長:
・無転移生存(HR 0.95, 0.83-1.09)で有意差なし
・全生存や生化学的再発でも明らかな利益なし
・アジュバントADT期間の延長:
・無転移生存(HR 0.84, 0.78-0.91)、10年無転移生存存絶対差:+7.7%
・全生存(HR 0.85, 0.78-094)
・遠隔転移・生化学的再発も有意に低減
・一貫性:
・照射線量(<74 Gy vs ≧74 Gy)、年齢(<70 vs ≧70)、NCCNリスク(中間リスク/高リスク)と治療効果に有意な相互作用なし
・線量分割:
・線量増加や小線源治療によるブースト照射でも利益は保持された
・中等度寡分割照射や超寡分割照射に関する差異を示すランダム化試験は未整備
・転帰の定義:
・生化学的再発はPhoenix基準が中心
・遠隔転移は骨盤街病変
・遠隔無再発生存は全生存の妥当な代替指標
・安全性と生活の質
・アンドロゲン除去療法(ADT)に伴う心代謝・認知・性機能などの有害事象と利益のトレードオフが前提
・ただし、高齢者(≧70歳)でも利益減弱の明確な証拠はない
・臨床的意義:
・中間リスク/高リスク群では、線量に依存せず、アンドロゲン除去療法(ADT)の併用を基本とすべき
・高リスクでは短期(4-6ヶ月)より、少なくとも18~36ヶ月のアジュバントADTの併用が望ましい
・ネオアジュバントADT:
・ネオアジュバントADTの延長は、意図的治療遅延などの理由を除き、ルーチンには推奨されない
・限界:
・試験が行われた年代は様々(1987年-2010年)、治療の異質性、陽性コアの陽性率などの未収集因子、第二世代阻害薬や現代的な線量分割への直接的な外挿はできない
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