A Randomized Trial of Stereotactic Body Radiation Therapy vs Radiofrequency Ablation for the Treatment of Small Renal Masses: A Feasibility Study (RADSTER).
Cassim R, Bansal R, Millan B, et al. Urology. 2025 Jun;200:118-124. doi: 10.1016/j.urology.2025.02.053. Epub 2025 Mar 7. PMID: 40058468.
【概要】
・サイズの小さな腎腫瘍に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)とラジオ波焼灼療法(RFA)を比較した単施設のパイロットランダム化試験
・同意率は73%、追跡遵守率は良好で、ランダム化比較試験の実施可能性が示唆された
・短期的な安全性は両群とも良好で、腎機能低下は軽度~中等度で、両群間に有意差なし
・PP解析では、病理学的奏効や画像的奏効はラジオ波焼灼療法で良好であるが、体幹部定位放射線治療では反応遅延・生検陽性の解釈には注意が必要
【背景と目的】
・サイズの小さな(≦4 cm)の腎腫瘍に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)とラジオ波焼灼(RFA)の前向きランダム化比較試験の実施可能性を検証
【対象と方法】
・単施設のパイロットランダム化試験
・1:1の割合でランダム化を行い、クロスオーバー可能
・治療前と治療12ヶ月後に腫瘍生検を実施
・評価項目:
・主要評価項目:ランダム化比較の実施可能性
・副次評価項目:短期的な有効性、安全性
・患者登録:
・2020年1月~2021年6月
・33例をスクリーニングし、24例が同意し、ランダム化(同意率:73%)
・割り付け:
・定位放射線治療群:12例、ラジオ波焼灼療法群:12例
・クロスオーバーは13%で、全てラジオ波焼灼療法→定位放射線治療(腎盂近接、腸管近接、中心性でラジオ波焼灼療法が不適と判断)
・治療介入:
・体幹部定位放射線治療:4DCRT±MRIでITVを作成、PTV=ITV+5 mm、強度変調回転照射(VMAT)にて25Gy/1回の照射
・ラジオ波焼灼療法:LeVeen電極を使用、腫瘍径+5 mmのマージン、最大 190W、1セッション(最大2サイクル)
【結果】
・実治療:
・体幹部定位放射線治療 14例、ラジオ波焼灼療法 7例、脱落 3例(13%)
・腎機能の変化:
・12ヶ月のeGFR変化は、RFA -3.0 mL/min/1.73 m2、SBRT -5.2 mL/min/1.73 m2(p=0.70)
・有害事象:
・入院を要する合併症の発生なし
・SBRT群でGrade 2の疼痛フレアが1例に発生したが自然軽快
・局所再発(RECIST):
・両群とも0%、12ヶ月時点で転移や死亡の発生なし
・ITT解析:
・病理学的奏効率:
・体幹部定位放射線治療群:44% vs ラジオ波焼灼療法:70%
・画像的奏効率:
・体幹部定位放射線治療:30% vs ラジオ波焼灼療法:56%
・PP解析:
・病理学的奏効率:
・体幹部定位放射線治療:33% vs ラジオ波焼灼療法:100%(p=0.01)
・画像的奏効率:
・体幹部定位放射線治療:23% vs ラジオ波焼灼療法:83%(p=0.04)
・12ヶ月時点での造影効果の残存は生検陽性率と高い一致率(κ=0.767;SBRT群もκ=0.74)
・重要な解釈:
・体幹部定位放射線治療後の造影効果の残存や生検陽性は必ずしもがんの生存や再発を意味しない
・反応は遅延し、増強が長期持続しても腫瘍動態は抑制されうる
・背景エビデンス:
・FASTRACK II(1年局所再発率:0%)やiROCK(5年再発率:5.5%)など、体幹部定位放射線治療の長期局所制御は良好と報告されている
・ラジオ波焼灼療法(RFA)後の再発率は4~15%、一次治療での再発は10%程度と報告されている
・実施可能性の所見:
・同意率は良好で、追跡損州立は高い一方、ラジオ波焼灼療法の事前IVRレビュー不足がクロスオーバーの主因
【結論】
・サイズの小さな腎腫瘍に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)とラジオ波焼灼療法(RFA)のランダム化試験は実施可能で、短期的な安全性は両群とも良好
・PP解析では、ラジオ波焼灼療法で病理学的奏効/画像的奏効が良好な傾向がみられたが、体幹部定位放射線治療の評価指標の特性を踏まえて、長期転帰と複合的なエンドポイントを備えた試験が必要
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