Phase I trial of stereotactic body radiation therapy (SBRT) for limited site locoregional recurrences of ovarian cancer.
Robin TP, Hu J, Jones BL, et al. Gynecol Oncol. 2025 Sep;200:175-179. doi: 10.1016/j.ygyno.2025.07.023. Epub 2025 Aug 20. PMID: 40839922.
【概要】
・卵巣がんの限局性の再発に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)の最大 30 Gy/3回までの線量増加は線量制限毒性(DLT)の発生なく可能であった。
・体幹部定位放射線治療(SBRT)関連のGrade 2以上の有害事象の発生も認めなかった。
・1年局所制御率:95%、無増悪生存率:45%、全生存率:100%と高い制御率と良好な生存成績を示し、QOLも維持された。
・67%の患者は全身療法の代替とした体幹部定位放射線治療(SBRT)が実施され、その70%は1年後時点でも全身療法不要の状態を維持した。
【背景と目的】
・進行卵巣がんでは腹膜播種が多く、従来の広範囲への照射は臓器制約が厳しいため放射線治療の役割は限定的であったが、限局性の再発(オリゴ再発)に対しては高精度の体幹部定位放射線治療(SBRT)が有望な治療選択肢となり得る
・限局性の局所再発(卵巣、卵管、腹膜病変3個以下)に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)の安全性と予備的有効性、生活の質(QOL)を評価した。
【対象と方法】
・第I相試験:3+3線量増加試験。
・対象:卵巣がんの病変数3個以下のオリゴ再発(局所/領域再発)
・評価項目:
・主要評価項目:線量制限毒性(DLT)と安全性
・探索的に腫瘍制御、生存、生活の質
・治療:
・体幹部定位放射線治療の線量を段階的に漸増し、用量レベル3 = 30 Gy/3回まで増量
【結果】
・15例の患者を集積
・体幹部定位放射線治療(SBRT)の線量は30 Gy/3回まで安全に線量増加可能であった。
・安全性:線量制限毒性(DLT)の発生を認めなかった。
・体幹部定位放射線治療(SBRT)関連のGrade 2以上の毒性の発生なく、急性期の毒性プロファイルは良好であった。
・有効性:
・1年時点での局所制御率(LC):95%、無増悪生存率(PFS):45%、全生存率(OS):100%
・体幹部定位放射線治療(SBRT)単独での局所制御は良好
・全身療法の回避:
・登録時点で全身療法の代替として体幹部定位放射線治療を受けた患者は67%(10例)
・その70%は治療1年後も全身療法が行われない状態を維持しており、化学療法の延期・休薬戦略としての価値が示唆された。
・生活の質(QoL):
・1年後のGlobal health/QOLはベースラインから維持されていた。
・体幹部定位放射線治療は高い局所制御率と生活の質の維持を両立できる可能性が示唆。
・臨床的含意:
・卵巣がんの限局性再発に対して、体幹部定位放射線治療(SBRT)は短期間に低毒性で高い局所制御を得つつ、全身療法のインターバル期間の延長を図れる可能性が示唆された。
・腹部・骨盤臓器の線量制約下でも体幹部定位放射線治療(SBRT)の実装の可能性は高い。
・適応の要点:
・病変数は3個以下、局所/領域再発という限定された集団での結果
・病変サイズ、部位(腸管近接など)に応じた厳密なプランニングと画像誘導が前提
・限界:
・単施設の小規模な(15例)第I相試験で、単群の試験であり追跡期間は短く、治療成績は1年時点の推定、長期毒性や遠隔制御への影響は確立していない
・選択バイアスの可能性もあり、第II相/III相試験での検証が必要
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